東洋のやきものの内には荒物の粗陶器として
甕器の系統がありますが、一方西洋の粗陶器としては一連の塩釉のやきものがあります。
塩釉というのは窯詰め前に施釉する普通の釉薬とは違ってむしろ窯を焚き上げるための薪の灰がうつわの表面に溶け付いた自然降灰釉のように高温になった窯の中に岩塩などの塩を投げ込んで揮発した塩の成分が土と反応したものです。
塩釉といえばドイツの髭徳利がよく知られていますが、塩釉は高火度で頑丈であることと比較的手間のいらない工程のためにドイツを発祥としてその後はヨーロッパ各国やアメリカでも壺や甕やジャグなどの生活雑器が数多く作られたようです。
この湯たんぽはオランダで見つけられたとのことですが西洋のやきもの史に詳しくない自分にはいつごろのどこのものかはわかりません。
須恵器の提瓶にも似たこの不思議なかたちとマグカップのような持ち手のつけ方には塩釉独特のこの肌合いと共にいかにも西洋の陶器らしい特色があります。