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くろもん 漏斗

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この季節になれば大きな薬缶に麦茶を作って瓶に入れてバケツや冷蔵庫で冷やしていますが薬缶から小さな口の瓶に注ぐのにこの漏斗をつかっています。
薩摩焼のうちのくろもんと呼ばれる黒無地の陶器ですが、くろもんの多くは装飾も皆無のただしっかり頑丈で役にたてば良いとばかりの素っ気ない作りのもので、それがただ陶器の骨格ばかりに削ぎ落とされたような現代的なうつくしさとも感じさせられます。
もちろん粗末な実用品のことですから冴えた美意識が削ぎ落したわけではなく初めっから何も余計な物が加えられることがなかったということなのですが、鑑賞の側からするとだからこそなおさらデザインの作為もない陶器の精のようなものばかりがかたちしたうぶなままのこの姿に打たれるのです。
現代の陶器であれば表現としては削ぎ落した美を捕まえることはできても、作者はその美意識そのものを削ぎ落とすことは出来ません。
ここに天然物と人工物の決定的な違いがあると思います。

現代では手仕事のやきものはテーブルの上で使ううつわや棚や床の間に飾るような花瓶などやそんなものばっかりになってしまいましたが昔はすり鉢、味噌甕、湯たんぽ、しびん、水甕、野壺そういう荒物の粗陶器が暮らしの中にあったし、陶工たちの大多数はそういうものを作る人達だったに違いないのです。
この写真の漏斗も現代ではあまり陶器で作られることはなくなったものではないかと思いますが、このようにすくっと立てて眺めれば無骨ながらもなんとも優美なうつくしい姿をしています。
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by hanakari | 2011-07-18 05:42 | つちのもの

ブレッドボード

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英国の古いブレッドボードをいくつか見たことがありますがすべてはおそらくは轆轤で仕上げた丸いもので、パンを切った時の粉を集める溝の外側の部分には草花紋やBREADなどの文字が浮き彫りにされたものも多くありました。
ブレッドボードに紋様があるということはそれが食卓で用いられるものであるということに関係があるように思われます。
もちろん英国でもブレッドボードの他に日本のまな板と同じような台所で用いられる肉や野菜を切った無紋のものがあったには違いないと思うのです。

工芸品の紋様は直接的な用途とは別に使い手の心に何がしかの情趣をもたらしてくれます。
衣食住に対して人の暮らしはどこかでただ純粋な機能だけではなくそういうものを求めているには違いないのです。
しかしながら多種多様な素材の多くの物々に囲まれた現代の暮らしの中ではそういうものが一面ではやややかましく感じられるのもまた事実で、シンプルな家電や白無地のうつわなどが求められるのも非常に納得の行くことだと思います。
むろん人それぞれの好みと暮らしは様々でしょうが、一昔前のような花柄の電気炊飯器や絵付けも華やかな食器の類はすでに一般的なものではなくなりました。
確かな素材を選ぶこと、無駄のない機能的なかたちを選ぶことが現代の暮らしの中ではある意味では無紋の紋様であると思います。
自分もまた紋様のないうつくしくてかつ機能的な四角いブレッドボードが使いたかったのです。

写真のつややかな桜板のブレッドボードはワシタカ工藝の森年弘さんに作っていただいたものです。
地元の杉を用いた森さんの椅子などのお仕事は以前から少しは見知っていましたが、正直に書くと友人のところで出会って話した木を使うばかりではなく山に木を植えるという彼の理念にむしろ大いに関心を持ったのです。
実際にそういうことは良いとは思ってもなかなか誰にでも出来ることではありません。

自分がうつわを作る場合でもそうですがお互いにお互いの好みがある場合には注文でものを作るというのはなかなかにちょっとした部分が難しいのです。
そこで今回は彼もぼくもそれほど明確なイメージのないところから、最初にあれこれとブレッドボードの話しをして寸法を決め、大まかなスケッチを渡しただけで材の選択も含めておまかせしたのです。
こういうものは木の種類と木目はもちろん、板の厚み、溝の幅、溝の外側の部分の幅と傾斜の角度、角の部分の丸みの具合などが少し変わるだけでずいぶん印象は変わりますが、そういうところを実に見事なバランスで漠然としたイメージ以上の試作を作ってくださいました。
あとは角の丸みのちょっとした具合と溝と縁の幅のバランスを少し修正しグレープシードオイルで拭きあげて本当に素晴らしいものに仕上がったのです。

よくある白い樹脂のまな板と違って使えば使うほどより美しくなり、なんでもないようなものでありながらいつまでも手に触れ見ていても飽きることのないというこういううつくしい板を用い、また眺めながら暮らせるというのはありがたいことです。

森さんの工房を訪ねるといつもきちんと整理整頓されていることに感心しますが、その工房と併設の展示室を公開して7月3日より展覧会が開かれますのでこのブレッドボードとあわせて紹介したいと思います。


WASHITAKA・SHOP 一周年記念 のこのこ展
7月3日~11日 13:00~18:00
詳細はリンク先のワシタカ工藝さんのサイトにて御覧ください。

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後日追記

ワシタカ工藝さんのブレッドボードの紹介ブログにリンクを付けます。
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by hanakari | 2010-06-27 01:38 | きのもの

PEUGEOT G-1 coffee grinder

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PEUGEOT/プジョーといえば今では自動車メーカーとして有名ですが、もともとは水車の挽き臼の歯車などを作る会社として創業したことは割と知られています。
今でも自動車ばかりではなくコーヒーや岩塩やコショウを挽くためのミルを作っているのですが、その創業100周年記念として1950-52年に作られたのがこのG-1というモデルのコーヒーミルなのだそうです。

ぼくもいつかなにかの写真でこのミルを見て以来ずっと気になっていたものを今年になってからようやく手に入れて、以来日々楽しみながら使っています。
古いものですが今なおガタひとつ無く現役で使えるのはたいしたものだと思います。


今日このミルを紹介したのは思い掛けなくも「コーヒーミルG-1」展の案内をいただいたからです。
この展覧会はデザイナーでかつ元麻布にある古美術店「さる山」の猿山修さんの協力・監修により「東青山」さんを会場として行われるようです。
こういうものに注目し焦点を当てた展覧会が開かれるというのは嬉しいことです。
ぼく自身は東京まではいけませんが少しでも多くの方に見ていただきたいと思います。

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「コーヒーミルG-1」展

期間 平成21年10月30日(金)〜11月8日(日) 月、火休み
時間 正午〜午後8時
場所 東青山 港区南青山6-1-6 パレス青山一階
協力/CORNES&CO.,LTD(PEUGEOT社輸入発売元)
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by hanakari | 2009-10-28 01:44 | かねのもの

中世の針

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ロンドンのテムズ川では引き潮になれば川底が現れ、砂に埋もれた古い遺物を探すことを楽しむ人たちが集まってくるのだそうです。
そこには陶器やガラスやコインなどの金属やいろいろなものがあるのでしょう。

これはテムズに限ったことではありませんが、暮らしの遺物はいったんその役目を終えたときには海に川に、あるいは穴を掘って地中へと捨てられました。
京都の街でも道路工事で掘り返している場所からは古い陶器のかけらなどがいくつものぞいていますし、生畑の畑や小さな川の底にも案外古いやきもののかけらが光っているのを時々見つけます。
ひとの暮らしがあった場所には暮らしの伴侶であったやきものが残されている。
そうして埋められたタイムカプセルを掘り起こしたいという願いには何とも本能的なロマンチックな夢があるように思います。

折々にロンドンの街で使われそして捨てられたスリップウェアのかけらを拾い集めては送って下さっているPaulさんYumiさん御夫妻からあるとき厚みはあるが軽い封筒が届きました。
これはかけらであるはずは無いと思ってなんだろうと開けてみて出て来たのがこの針でした。
それはとんでもなくうつくしいもので、いかにも時代を経てはいてもはっきりと残った鍍金と丸い頭の作りが何とも魅力的なものでした。
一目見てまるで百済か飛鳥の古墳から出て来たもののような印象を受けましたが、これは実際に思いがけないくらいに古く1400-1500年頃の衣服を縫うかわりに留めるための針なのだそうです。
そう聞いても巻きスカートの留ピンのようなものしかイメージ出来ないのですがちょっと違うかもしれません。

スリップウェアのかけらは無論うれしいのですがこのような予想もしない未知のうつくしいものに出会った歓びはまた格別です。
西洋服飾史の資料としてはあるいは知られているのかもしれませんが、審美の世界では中世の針はおそらくその対象としてまだほとんど知られていないのではないかという気がしたのです。
まるで知らないひとつの美がここに追加されたような感動を覚えました。
早く紹介したかったのですがなにぶん小さなものですから写真に苦労して時間がかかりました。
結局送っていただいたままの状態で写したのです。
しばしば数本づつまとまって泥の中に埋もれているのだとのことですが、それにしてもこんな小さなものをよく見つけられるものだと驚きます。
いつもながらのお二人への感謝とともに、このような予想だにしなかったうつくしいものの発見を祝福したいと思いここに紹介させていただきます。
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by hanakari | 2009-07-19 00:11 | かねのもの

ポテトマッシャー

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西洋のアンティークを扱うお店にあったものでひときわ目を惹いた。
このブログはこのところほとんど更新できていないが窯を焚いてやきものを買っていただいた分は確実に何かうつくしいものを求めたので良いものがかなり集まっている。
しっかりと美の栄養を摂らないではよい仕事は出来る訳がない。
私蔵しないで出来るだけ共有してゆきたいとは思っているのでまた追々紹介してゆくつもりです。
値の張るものはなかなか手が届かないであきらめざるを得ない場合も少なくないが、いうまでもなく値段と美とは別問題でもったいないくらいに安いものにもとんでもなくうつくしいものはいくらでもあるのがありがたい。

これはお店の方によると1900年代前期のイギリスのものだそうで、そういうことはよくわからないけれども木製のハンドルのやつれた風合いも金属部分の鈍い輝きからもそれ相応の年月を経て使い込まれて来たものだということは見て取れる。
轆轤で作った膨らみのあるハンドルから捻った太い三本の針金が伸びてジャガイモを潰す部分を支えている。
この道具には使い込まれた味わい以前に確かなバランスがある。
しかもまだまだしっかりと機能を果たすことも出来るのだからこれを求めない訳にはゆかなかった。
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by hanakari | 2009-06-30 02:10 | かねのもの

藍白

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藍 古布
白 木綿糸


以前に拾ってきた古布を雑巾にしました
使い込んでどのようになるかを見届けたいのです
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by hanakari | 2008-04-05 00:59 | ぬのきれ

行火

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これは初めて見た時は何をするものかわからなかったのですが、聞けば東北地方のものだそうで柔らかい石をくりぬいて作られたあんかだそうです。
時間をかけてこつこつと仕上げた石の工芸にはその工程が生み出す独特の静けさと穏やかさがあるように思われます。
分厚にどっしりと重く作られていて、中に炭火を少しいれれば全体が穏やかに熱くなり、寒い季節に手足やお尻を暖めてくれそうな感じがします。
こういう地方的な生活工芸品もおそらく今ではほぼ使われなくなってしまったのではないかという気がします。
本品も軒先か物置にでも放置されて水に濡れるか湿気るかしたものが彼の地の寒さで凍ててしまって剥落するように風化が進んでいるのです。
それでもむしろ使い込まれてすべすべになった丸い姿の穏やかさと風化して崩れつつある荒々しい肌との対比にかえって凄い感じを受けます。
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by hanakari | 2008-01-12 12:20 | いしのもの

EUNOS ROADSTER

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最初のロードスターが発売されたのはちょっと調べて見ると1989年の9月のことですが、これはそれからおよそ半年後の車です。
EUNOSという聞きなれないブランドから出たこの車になんと綺麗なのだろうと驚き、そしてこれがマツダの新しいブランドのモデルだと知った時にはこんな車が国産で出たのかと2度驚いたものです。
まだぼくは当時は車を買うということさえ思いもよらない頃でしたが、それから10年後の1999の春に手に入れて以来8年半ほどで7万キロあまり乗りました。
この車は2人しか乗れないし、荷物も積めないし不便なこともありましたが、それでも軽やかに峠道をすいすいと走る運転するのがとても楽しい車でした。
見た目は相当おんぼろになっていましたが最後まで大好きだったのです。

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こちらは春に載せた桜の木の下での後ろ姿です。



車というのはちょっと特別なものでいろんな人といろんな処へ行った思い出がたくさんあるものですが、とうとうお別れの時がきてしまいました。
大変楽しく気持ちの良い時を共に過ごしたのです。
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by hanakari | 2007-12-31 06:15 | かねのもの

JAL

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JALの座席に備え付けられているゴミ袋ですがさすがに大変洗練されて落ち着いたデザインです。
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by hanakari | 2007-12-31 06:00 | かみのもの

糸車

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なんとも印象的な姿をしています。
これは一昔前の糸取り車。
おなじようなものは各地にあると思いますがこの一点は新潟県は上越で用いられたものだそうであまりに冴えたこのかたちに魅かれて求めたものです。
材は杉でしょうか、軽い木で作られていますが冬の厳しい地方のためか囲炉裏の煙で煤けて真っ黒になっています。
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by hanakari | 2007-09-23 23:19 | きのもの