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くろもん 漏斗

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この季節になれば大きな薬缶に麦茶を作って瓶に入れてバケツや冷蔵庫で冷やしていますが薬缶から小さな口の瓶に注ぐのにこの漏斗をつかっています。
薩摩焼のうちのくろもんと呼ばれる黒無地の陶器ですが、くろもんの多くは装飾も皆無のただしっかり頑丈で役にたてば良いとばかりの素っ気ない作りのもので、それがただ陶器の骨格ばかりに削ぎ落とされたような現代的なうつくしさとも感じさせられます。
もちろん粗末な実用品のことですから冴えた美意識が削ぎ落したわけではなく初めっから何も余計な物が加えられることがなかったということなのですが、鑑賞の側からするとだからこそなおさらデザインの作為もない陶器の精のようなものばかりがかたちしたうぶなままのこの姿に打たれるのです。
現代の陶器であれば表現としては削ぎ落した美を捕まえることはできても、作者はその美意識そのものを削ぎ落とすことは出来ません。
ここに天然物と人工物の決定的な違いがあると思います。

現代では手仕事のやきものはテーブルの上で使ううつわや棚や床の間に飾るような花瓶などやそんなものばっかりになってしまいましたが昔はすり鉢、味噌甕、湯たんぽ、しびん、水甕、野壺そういう荒物の粗陶器が暮らしの中にあったし、陶工たちの大多数はそういうものを作る人達だったに違いないのです。
この写真の漏斗も現代ではあまり陶器で作られることはなくなったものではないかと思いますが、このようにすくっと立てて眺めれば無骨ながらもなんとも優美なうつくしい姿をしています。
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by hanakari | 2011-07-18 05:42 | つちのもの