これは初めて見た時は何をするものかわからなかったのですが、聞けば東北地方のものだそうで柔らかい石をくりぬいて作られたあんかだそうです。
時間をかけてこつこつと仕上げた石の工芸にはその工程が生み出す独特の静けさと穏やかさがあるように思われます。
分厚にどっしりと重く作られていて、中に炭火を少しいれれば全体が穏やかに熱くなり、寒い季節に手足やお尻を暖めてくれそうな感じがします。
こういう地方的な生活工芸品もおそらく今ではほぼ使われなくなってしまったのではないかという気がします。
本品も軒先か物置にでも放置されて水に濡れるか湿気るかしたものが彼の地の寒さで凍ててしまって剥落するように風化が進んでいるのです。
それでもむしろ使い込まれてすべすべになった丸い姿の穏やかさと風化して崩れつつある荒々しい肌との対比にかえって凄い感じを受けます。